地元農業の諸事情
この畑は地元小学校の管理農園です。
先週の土曜日に小学校の畑にサツマイモを植えるための下準備にマルチがけ作業をしてきました。
実は、うちにはもう小学校の生徒がいないので用はないはずだったんですが、今はこの地元に小学校の生徒を持つ農家が1人しかいないらしくて、急遽頼まれて助っ人してきました。
作業自体は簡単で一人でもやれる作業なので、4人集まれば、ものの30分で作業は終了。
でも、いつも私はその後の歓談が楽しみだったりする。
地元に住んでいても、作物が違うとほとんど会う機会も無いので、会うと
「調子はどうですか?」などと、切り出す。
その時の話で、磐田とか浜松の市場に直接荷物を運んでる先輩農家の話では
市場の活気が以前よりも無くなったということ。
なんでも、この地域の八百屋が激減しているとのこと。
もちろん、市場には八百屋さんだけが出入りしているわけではなく、料理やさん、惣菜やさんなども出入りしているわけだけど、毎日コンスタントに仕入れをしている八百屋さんが減るのは市場にとって困った状況だと思う。
そうなれば、相場も出ないし、数少ない生産農家も離れていってしまう。
また、その日の夜は中学校PTAのボランティア組織「おやじの会」の今年度の発足式があって
その時に久しぶりに会った先輩から始めにかけられた一言は「まだ、メロンやってるの?」でした。
私の地域でも以前はガラス温室のメロン栽培農家が8軒ありました。
今ではうちを含めて2軒だけ。
また、ガラス温室ではなくて、ビニールハウスで、冬はトマト、夏はメロン の農家もメロンの栽培を止める人が多くなってきてるみたい。
子供の頃は駅前や病院の前に必ずあった果物屋さんが最近はあんまり見かけなくなった。
病人のお見舞いにはメロンを、という人も少なくなったみたいだし、病室でみかんやリンゴもあまり見かけなくなった。
見かけるメロンといったら、大手スーパーの安売り広告の「~メロンが1個398円」の広告商品
別にこのメロンを悪く言うつもりはない、むしろ同じ生産者としてこの価格ではたして採算がとれるのか・・などと心配が先にたつ。まあ、人の心配をしているほどの余裕は自分にも無いのだけれど。
私の住んでいる地域は農業地帯なのだけれど、最近、大きな住宅団地誘致の話が出ている。
元々の住人の世帯は900軒前後なのだけれど、ここに500軒程度の住宅を誘致する・・らしい。
話が決まれば、現在の小学校の全校生徒が100人前後なので分校になることは阻止できる。
商業の発展も少しは見込めるかも知れない。うちのメロンも買いにくる人が増えるかもしれない。
地権者の意見は(私の知る限りでは)おおむねまとまっているらしい。
理由は、「農業はもう自分の代で終わりにしたい、後代に継がせたくない」
ということらしい。
相変わらずスーパーにはたくさんの食材があふれていて、一見新鮮そうな、多種類の野菜が並べられている。
インターネットの普及で、見ず知らずの人と会話することができ、その中には農業の魅力とか期待とかを聞くことがある。
でも、実際は簡単に始められないし、簡単に出来るわけではない。
いつか世界レベルで食糧危機が叫ばれた時、結論が出るかもしれない。
自給自足こそが生きる道だという結論が。
うっ、長くなったら変なまとめ方になってしまった。